代表取締役あいさつ

「ひと」 「もの」 「地球」に優しい
食品流通のエキスパートとして、
すべてのステークホルダーの信頼と期待に応えられる経営を目指してまいります。

社長就任直後の課題と成長への新たな決意

私が2023年12月に社長に就任してからの一年は、多くの課題と学びに満ちた期間でした。2024年9月期の決算処理に関して監査法人との検証・協議を行ってきた当社では、2025年1月6日付で、過年度決算(2021年9月期~2024年9月期)の訂正内容を公表いたしました。
株主様をはじめとする関係者の皆様方には、多大なるご迷惑とご心配をお掛けいたしましたことを深くお詫び申し上げます。2025年2月に開催した定時株主総会の継続会では、株主様より単なる修正決算の原因追及ではなく、「今後どうすべきか」という建設的なご質問が多く寄せられました。この経験を通じて、私は企業経営の責任の重さを改めて実感し、今後の改善と成長への糧とする決意を新たにいたしました。

リスク管理の強化

前述の件を踏まえ、当社はリスク管理を経営の重要課題として改めて認識し、全社的にリスク管理のあり方を見直すこととしました。具体的には、2025年1月、従来の機能に代えて、新たにリスクマネジメント委員会を設置し、リスク管理をこれまで以上に強化する体制を整えました。同委員会では代表取締役である私自身が委員長を務め、リスクの未然防止、早期発見、適切な対応を可能とする持続的・実効的・組織的な仕組みを構築・運用するとともに、既発生事案の検証と再発防止に取り組んでまいります。

キャリアを通じて「人」こそが企業成長の要と確信

私は1986年にヨコレイに入社しました。大学入学当初は警察官を志望していましたが、学生課で偶然ヨコレイの求人票を見つけたことが、私のキャリアスタートのきっかけとなりました。最初に配属されたのが長崎営業所です。併設していた長崎工場(現在の長崎物流センター)の凍結稼働を主目的とした市場での水産物の買い付けとその販売、また各種冷凍魚の売りつなぎが主業務でした。毎朝4時に市場へ行き、150~200トンの大量の魚を買い付けるという現場作業も経験しましたが、最初の1か月で10キロ体重が落ちたほどの重労働でした。その後も全国各地の営業所への異動を通じ、営業として厳しい現実と向き合いました。その中で、こうした業務環境がいかに自分を鍛え、人を見る目を養い、信頼の大切さを教えてくれたかを実感しました。執行役員としては九州グループ統括部長、内部監査室長、取締役としては販売統括部長や管理本部長など、様々な職務を経験しました。そのたびに新たな挑戦の機会があり、多くのことを学びました。
このような現場での業務や数々の経験は、経営の根幹ともいえる人材育成や組織の強靭化に資する、大きな気づきを与えてくれました。そして、社員一人ひとりが自らの力を発揮し、成長できる環境づくりの重要性も痛感しました。そのために中間管理職が部下を育成し、組織を支える役割を果たせるよう、そして若手社員がキャリアプランを描きやすくなるよう、2024年4月に人事制度を改定しました。新人事制度では、評価と昇進基準をより明確化・見える化し、中堅及び若手社員のモチベーションやエンゲージメントを維持・向上させる設計としています。また、採用活動を強化し、人材育成に特化した施設と実地研修機能の双方を備えた「横浜みらいHRD・横浜みらいサテライト」の一層の活用を図っています。「会社の基盤は人である」という信念を持って、人財育成と組織改革に注力してまいります。

2030年ビジョン実現に向けた新・中期経営計画(第Ⅱ期)の施策が順調に進展

当社グループは2030年に向けた長期的方向性「ヨコレイ事業ビジョン2030」及び「ヨコレイ サステナビリティビジョン2030」を掲げ、5つの重要課題(マテリアリティ)に対する定性目標と定量目標の達成を目指しています。
これら2つのビジョンの実現に向けた第2ステージとして、新・中期経営計画(第Ⅱ期)「繋ぐ力」(2023年10月~2026年9月)において、各施策を推進しており、その結果、中計初年度の当期(2024年9月期)は、各段階利益とも増益でスタートすることができました。
セグメント別では、冷蔵倉庫事業は、「環境配慮型センターの加速化」「スマートコールドサービスの実現」「ASEANグローバル展開」の3つの重点施策が順調に進み、増収増益となりました。2024年は既存物流センターへの太陽光発電パネルの設置が進んだほか、3つの物流センターが竣工しました。2025年に入ってからは、初のベトナム進出となる「ベンルック物流センター」、北海道地区で8つ目の物流拠点「十勝フードバレー物流センター」、中国・四国地方の要衝「岡山CONNECT物流センター」が竣工しました。さらに、タイ国における4つ目の拠点「スワンナプーム物流センター(仮称)」の計画も着々と進んでいます。
また、「ベンルック物流センター」「十勝フードバレー物流センター」でのRPA導入に代表されるような各拠点のロボティクス化、他地区でのスマートオフィス化等を進め、今期(2025年9月期)では40,000時間のセンター業務時間削減を目指します。
現在、2026年に向けて、積極的な設備投資を計画しています。2024年問題で中継地となる物流拠点のニーズが高まっていることから、主に物流型の冷蔵倉庫の拡充を進め、国内物流ネットワークをさらに強化していきます。海外においてもタイやベトナムでの事業展開を進め、将来の市場開拓に向けた基盤を整えています。特にベトナムの「ベンルック物流センター」では完全自動倉庫を導入し、効率的な物流システムを実現しました。
冷蔵倉庫事業における当社の強みとしては、環境に配慮した最新の設備と高い品質を誇る冷蔵倉庫、現場で働く優秀な自社社員によるオペレーション等が挙げられます。特に当社の冷蔵倉庫は、過去の震災時でも被害が少ない堅牢な施設が評価され、多くのお取引先企業からご信頼をいただいています。こうした優位性を活かしながら、重点施策を着実に実施してまいります。
食品販売事業は、「収益性向上のための構造改革」「事業品・全社取組商材の販路拡大」「独自商品と販売網の開発」「海外における販路拡大」の4つの重点施策に取り組んでいます。その結果、利益率が改善し、中計初年度は前期比50%超の増益を達成することができました。しかし、まだまだ伸びしろは大いに残されていると率直に感じています。そのためにも、これまでBtoB中心であった食品販売事業をBtoC領域にも拡大し、ブランド力の向上と付加価値の高い商品展開を進めることで、会社全体の収益性の向上を目指しています。例えば、買参権を活かした前浜水揚げ商材による簡便食品、医療食等の開発・販売拡大がその一例です。また、専門性の高いプロフェッショナル人材を育成し、海外取引先の販路を活用した欧州・北米市場の新規開拓を図ることで、より競争力のある販売戦略を構築していく考えです。

持続可能な成長を目指して

私は、「企業の成長は人の成長に支えられている」と考えています。長期的に持続可能な成長を実現することこそが、経営者の役割です。そのために、社員一人ひとりが働きがいを持ち、誇りを持てる会社をつくることに全力を尽くします。
この決意を新たに、引き続き当社グループは、「会社は社会の公器であり、利益は奉仕の尺度である」の企業理念のもと、「ひと」 「もの」 「地球」に優しい食品流通のエキスパートとして、創業80年、100年に向けて、お客さま、株主様、従業員、地域社会など、すべてのステークホルダーの信頼と期待に応えられる経営を目指してまいります。
今後とも皆さまの一層のご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。

代表取締役社長 古瀬健児

代表取締役社長 古瀬健児